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税に関するコラム

登記上の本店と実際の事務所(事業所)が異なるとき

会社を運営するにあたって、登記上の本店と実際の事業場が違うことがあります。
例えば、
  法人を設立したい。
  今現在は、個人事業を大阪市内で行っている。
  手狭になってきたので、近々事務所を移転する予定がある。

そんな時、T市にある社長の自宅を法人の本店として登記する。

こんなケースがあります。 法人の本店が変われば、登記が必要となります。
登記代が意外と高額で、法務局の管轄が変わるような場合、
登録免許税だけでも何と6万円もかかってしまいます。

さてこのような場合、法人の申告ですが、どこに申告書を提出すればよいのか?
悩んででしまう場合もあるでしょう。
 
大前提として、法人に関する税金は、大きく次の3種類です。
 ①法人税 (国税)
 法人の所得を基礎とする税金で、納税地の所轄税務署に対して申告納付します。
 ②法人道府県民税・法人事業税・地方特別法人税(地方税)
 その法人の法人税および所得を基礎とする税金で、
 事務所・事業所所在地の府税事務所に申告納付します。
 ③法人市町村民税(地方税)
 その法人の法人税を基礎とする税金で、事務所・事業所所在地の市町村に申告納付します。

上記①法人税は、本店所在地の税務署に申告します。
②および③の地方税は、本店と支店のように、複数の事務所等があれば、それぞれの地方団体に申告する必要があります。(この場合の法人を分割法人といいます)

ここで大切なことは、「事務所等」とは何かということです。
「事務所等とは、それが自己の所有に属するかどうかを問わず、事業の必要性から設けられた人的及び物的設備であって、そこで継続して事業が行われているものをいう。」 (地方税法の施行に関する取扱いより)

すなわち、場所が存在し人がいて(人が常駐して製造・事務等をしている等人の存在が事業遂行上密接に関係する状態)、そこで営業しているところが「事務所等」ということになります。

本店が社長の自宅となっている場合ですが、この本店が登記上のみの本店であって、通常はここには常駐の従業員等がおらず、営業を行っていないのであれば、「事務所等」には該当しないことになります。

この場合には、法人税は「本店所在地」に、地方税は「別の市に開設した事務所の所在地」に申告・納税をすればよいことになります。 つまり「分割法人」には該当しません。

上記のとおり法人税は「納税地」を「本店所在地」としており、国が、この状態が実態にあわないと認めるときには、国税局長が納税地を指定することがあります。

しかしながら多くの場合、登記をした本店が納税地となるため、申告すべき場所が、地方公共団体の取扱と異なることになります。 また、「本店である自宅」が上記の取扱で、「事務所等」に該当すれば、「分割法人」となり、地方税の申告は、その「事務所等」の所在地の市町村または道府県ごとに申告することになります。

本店がT市の社長自宅(事務所等に該当しない)で、事務所が大阪市にある場合、法人税はT税務署、法人府民税等は大阪府、法人市民税は大阪市へ提出することになります。 次に、本店がT市(事務所等に該当する)で、事務所が大阪市にある場合、法人税はT税務署、法人府民税等は大阪府、法人市民税はT市と大阪市の両方に提出する事になります。

会社が「分割法人」に該当すれば納税額は変わるのでしょうか?

分割法人の場合には、会社全体の地方税を事務所等が存する各地方団体に按分して申告・納税を行います。よって、「所得に対して課税される地方税」の合計金額は変わらないのですが、(厳密には、地方公共団体ごとに税率が違う場合がありますので、合計額が変わる場合もあります。)

「均等割」という事務所があるだけで課税される税金が、事務所のある地方公共団体ごとに加算されます。

上記のケースですと、社長の自宅が事務所等に該当すれば、大阪市とT市の均等割がかかります。

結論として、法人税は本店所在地の税務署に申告し、地方税は実態のある事務所等ごとに申告納税する必要があり、その申告する地方公共団体が増えれば、その分だけ均等割額が増えるということになります。

「業務請負契約書」と「業務委託契約書」との印紙税

ある方(清掃業を営むA氏)から印紙税のご相談を頂戴しました。
印紙税は現物課税であります。
すなわち、契約書を拝見して「この契約書に貼る印紙はこの金額ですね。」という類のものであります。
今回は、現物を拝見せずに仮定でのご回答でありますので、歯切れが悪い部分が多々あると存じます。
平にご容赦くださいませ。

ご質問の趣旨は、「請負契約書」と「業務委託契約書」との印紙税の違いについて。
まず最初に、業務委託契約とは何ぞやという疑問にお答えいたします。

結論のみ申し上げますと、業務委託契約は、その多くは民法上の請負契約、若しくは(準)委任契約に分類されます。
次に、委任契約・準委任契約と請負契約との違いについて。 委任契約と準委任契約との違いは、前者が法律行為を依頼する契約であり、後者は法律行為ではない行為を依頼することであります。
例えば、
・弁護士に訴訟の代理を依頼→委任契約
・コンサルティングの依頼→準委任契約

請負契約と委任契約(準委任契約も含みます)の特徴は以下のとおりとなります。

<請負契約>
サッカーで言えば、ゴールを決める。 (いいプレイをすることは関係ありません。)

・当事者の一方(請負者)がある仕事の完成を約束し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して
報酬を支払うことを内容とする契約。
・完成された仕事の結果を目的とする。
・仕事を請負者が自ら行なうことができ、第三者に下請けさせることも当然に許される。
・報酬は原則として後払い。  (当事者間の了解で分割払いにする場合有り)
・建築工事など完成しないと意味が無い。

請負契約の代表的な例
家屋の建築
道路の建設
洋服の仕立て
車両及び機械の製作
機械の修理
シナリオの作成
音楽の演奏
建物の清掃


<委任契約>
サッカーで言えば90分プレイすること。

・当事者の一方が特定の行為をすることを委託する。
・仕事の完成・成果物の引渡しは約束されていない。
・期間を定めて何らかの業務を依頼し、その期間中何らかの業務を行い、報告をする。
・受任者の能力を信頼してその法律行為を委託するのであって、委任者の承諾がない限り、
第三者にその事務を任せることは許されない。
・事務や相談など、依頼することに意味がある。

委任契約の代表的な例
 弁護士等との顧問契約
 病院における診療
 コンサルティング契約等で、委任契約に該当するもの


次に大切なことは、印紙税を考えるうえで、契約書の名称の如何を問わないということです。
ご覧になられた方も多いと思いますが、印紙税額一覧表(印紙税額を確認する表)における文書の種類が、「請負に関する契約書」となっているのがその最たる例です。
すなわち、契約書名が「業務委託契約書」となっていても、当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約束し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払うことによって成立する契約。 換言すれば、仕事の完成と報酬の支払とが対価関係にある契約であれば、その契約書は「請負について記載された契約書」となります。

仮に、A氏が業務委託契約書において、
・委託業務の内容は、建物の清掃
・契約期間は1年(自動更新の規定有)
・毎月の委託金額は具体的に記載せず、行ったメニューにより別途請求
と記載したとします。

そうしますと、この契約書は清掃という請負の契約書(2号文書)となるのですが、請負金額が算定できません。 請負契約であり、この請負に関する契約書が、営業者間で契約されていると仮定しますと、継続的取引の基本となる条項を備えており、契約期間が1年であり自動更新が予定されていることから、請負契約書(2号文書)と継続的取引の基本契約書(7号文書)との双方に該当します。
具体的な業務委託料が算定できないことから、継続的取引の基本契約書(7号文書)に該当すると考えられます。 この場合の印紙税は、4,000円になると考えます。

確実なご回答は、契約書を添えて、顧問税理士または、管轄の税務署にお問い合わせ頂ければと存じます。

報酬の源泉徴収をしなかったら、誰に迷惑がかかりますか?

給料でおなじみの源泉徴収。
給与以外でも報酬・料金についても源泉徴収が必要です。
弁護士・税理士等の士業からの請求書に記載されている源泉徴収額をご覧になられた方も多いのではないでしょうか?
平成25年1月より復興特別所得税が課されておりますので、源泉徴収税額に端数がついており、疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。

さてここで、士業以外にも、主なものを例示しますと、
下記の報酬・料金等について、源泉徴収が必要となります。

1.原稿、挿絵、写真、作曲、吹き込み(声優等)、デザイン、放送謝金(出演料等)、
  脚本、脚色、翻訳、校正  等に対する報酬・料金等
2.著作権、工業所有権等の使用料
3.外交員に支払う報酬・料金等

ここから具体的なお話をさせて頂きます。
個人でグラフィックデザインの仕事をしているA氏。
請求書を発行する際に、法人顧客にだけ源泉徴収税額を記載した請求書を発行し、
「源泉徴収税を差引かないで。」と依頼があった法人顧客と、
個人で商売をしている顧客に対しては、源泉徴収税額を記載しない請求書を発行していました。

このような場合どうなるのでしょうか?
まず、報酬・料金等を支払う場合において、源泉徴収義務(源泉徴収をしなければならない)者は、誰なのかを考えてみます。
(話がややこしくなりますので、非居住者についてはこのコラムから除外させてください。)
基本的にはすべての支払者が源泉徴収義務者となるのですが、
下記が例外となります。
「報酬・料金等の支払者が個人であって、その個人が給与等の支払者でないとき又は給与等の支払者であっても常時2人以下の家事使用人のみに対する給与の支払者であるときは、ホステス等に報酬・料金等を支払う場合を除き、源泉徴収する必要はありません。給与等(青色専従者給与を含みます。)の支払いがある個人は、たとえその給与等について納付すべき税額がない場合であっても、源泉徴収の対象となる報酬・料金等を支払う際に、所得税を源泉徴収しなければなりません。」(国税庁HPより抜粋)

A氏は、「顧客が法人なのか個人なのか」で区分していたのはOKなのですが、
仮に個人であっても、
・従業員がいる飲食店のポスターのデザインをした
・従業員がいる歯科医院の広告をデザインした 等
場合には顧客が源泉徴収義務者となりますので、注意が必要です。

次に法人顧客から「源泉徴収税を差引かないで。」との依頼があった場合ですが、
残念ながら、「源泉徴収を希望しない支払者については、この限りではない。」という規定はありませんので、顧客が望むと望まざるとにかかわらず、A氏は源泉徴収税額を記載した請求書を発行する必要があります。

最後に、源泉徴収しないとどうなるかですが、
源泉徴収義務者に該当する顧客が、A氏にデザイン料を支払う際、
源泉徴収を怠った場合には、正当な理由があると認められる場合を除き、
納付税額の他に不納付加算税として、納付税額の10%(税務署からの通知を受ける前に自主的に納付した場合は5%)が罰金的な意味合いとして課されます。

ここで大切なことは、仮にA氏が発行した請求書に源泉徴収税額の記載がなくても、
源泉徴収収を怠った者(法人)は、顧客となります。
なぜなら、あくまでも源泉徴収義務者は、顧客であるからです。

さらに、納付が遅れた日数に応じて延滞税が課されます。
誰に対して課されるのか?
A氏ではなく顧客に対して課されます
顧客が納付する不納付加算税、延滞税ともに損金不算入(経費とはならない)となります。

顧客との信頼関係が崩れる可能性もありますので、くれぐれもご注意ください。

外国の方を雇用した場合の源泉所得税

飲食店の従業員さんには、外国の方が多数見受けられます。
飲食店に限らず、外国の方の採用をお考えの場合、
税務上、どのような点に注意すればよいのでしょうか?

お給料から差し引く所得税についてご説明します。
所得税法上、外国籍の方は「居住者」と「非居住者」に分けられます。
「居住者」とは、日本国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいいます。
「居住者」以外の方は「非居住者」となります。
「住所」とは、「個人の生活の本拠」をいいます。
「生活の本拠」なのかどうかは「客観的事実によって判定する」ことになり、
その人の生活の中心がどこかで判定されます。
ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、
職務内容や契約等を基に「住所の推定」を行うことになります。
「居所」とは、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」です。
 
「居住者」となれば、源泉徴収事務は日本人と何ら変わりません。
月給の場合ですと、「扶養控除等申告書」の提出の有無により甲欄、又は乙欄の月額表を使用します。
「非居住者」と判定されると、お給料の20%を源泉徴収する必要があります。

大原則は上記の通りです。
 しかし、外国籍の方が外国から入国してきた場合に、その方が国内に住所を有するかどうかの判定が難しいことは多いと思われます。
そこで、所得税法では、国内に居住することとなった外国籍の方が次のいずれかに該当する場合には、
その外国籍の方は国内に住所を有する者と推定することとしています。
1.その者が国内において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。
2.その者が日本の国籍を有し、または出入国管理及び難民認定法の規定による永住の許可を受けており、 
  かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有することその他国内における
   その者の職業および資産の有無等の状況に照らし、その者が国内において継続して1年以上居住するもの
   と推測するに足りる事実があること。 
  
また、上記により国内に住所を有する者と推定される個人と生計を一にする配偶者その他その者の
扶養する親族が国内に居住する場合には、
これらの者も国内に住所を有する者と推定することとしています。

なお、以上に関連して次のような通達もあります(所基通3-3)。
国内において事業を営み、もしくは職業に従事するため国内に居住することとなった者は、
国内における在留期間が契約等によりあらかじめ1年未満であることが明らかであると認められる場合を除き、上記1に該当するものとする。

以上の事柄を総合勘案して、居住者・非居住者の判定を行い、源泉所得税の計算をしていくことになります。
 
雇用される方が留学生(学校教育法第1条に規定する学校の生徒又は学生)の場合には、別の取り扱いとなる場合があります。
この取扱いにつきましては、別の機会で記させて頂ければ幸いです。
居住者となるか、非居住者となるかで源泉所得税の額は大きく変わります。
預り漏れ、納め漏れ等がありますと、源泉所得税には、不納付加算税という罰金的な税が課される恐れがあります。

くれぐれもご注意ください。

申告の間違いに気づいた時

ある方からご相談を頂戴しました。
その方は、商売をされており、平成24年分の確定申告書が完成し、税務署に提出。
その後申告書の見直しをしますと控除が漏れていた。というケースです。

提出した申告書に間違いがない方が良いですが、人間ですので、間違いはあります。
 
この方のケースですと法定申告期限が3月15日ですので、ご相談を頂戴した時は法定申告期限前でした。
申告期限前であれば、確定申告書を再提出することが可能です。
つまり、申告期限前であれば何度でも確定申告書を再提出することが可能です。
再提出により支払う税額が増える場合には、差額を納付します。
逆に減少する場合には還付されることとなります。
申告期限前の納付であれば延滞税等はかかりませんのでご安心ください。

しかしながら、運悪く申告書の間違いに申告期限を経過した後に気づいた場合はどうなるのでしょうか?
税額が増える場合は「修正申告書」を提出します。
では、税額が減る場合はどうでしょうか?
この場合は「更正の請求」という手続きをします。
具体的には、「更正の請求書」という書類を税務署に提出します。
この手続きに大きな改正がなされました。
改正前は、法定申告期限から1年超経過してから申告書の間違いに気づいても、
法的な措置はありませんでした。税務署長に「嘆願書」という法律外の書類を提出し、
まさに、お上にお願いして、税務署長の権限で申告書を訂正してくださいということしかできませんでした。

平成23年度税制改正において、更正の請求手続きが大幅に見直されました。
この改正で大切なことは、間違いに気づいた申告書の法定申告期限がいつなのかということです。
「更正の請求期間の延長」と「更正の請求の範囲の拡大」の大きな2点の改正があります。

<更正の請求期間の延長>
1.法定申告期限が平成23年12月2日以後の場合
更正の請求ができる期間が法定申告期限から原則として5年に延長されました。 

2.法定申告期限が平成23年12月2日より前の場合
更正の請求の請求期限は従来どおり法定申告期限から1年です。
しかし、法定申告期限が平成23年12月2日より前に到来する国税で、
更正の請求の期限を過ぎた課税期間について、
増額更正ができる期間内に「更正の申出書」の提出があれば、
調査によりその内容の検討をして、
納めすぎの税金があると認められた場合には、減額の更正を行うことになります。
(申出のとおり更正されない場合であっても、不服申立てすることはできません。)

<更正の請求の範囲の拡大>
更正の請求の範囲の拡大は大きく2つに分かれます。

1.当初申告要件の廃止
改正前は、以下の各制度について(国税庁HPより抜粋)、
当初申告を行う際適用を受けなかった場合には、修正申告または更正の請求を行う際に適用を認められ  
ていませんでした。
改正後(平成23年12月2日以降に提出期限が到来するもの)は、
以下の各制度を当初申告において適用していなかった場合でも、
修正申告または更正の請求によって、適用できるようになりました。

所得税関係
・給与所得者の特定支出の控除の特例(所法57の2)
・保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の所得計算の特例(所法64)
・純損失の繰越控除(所法70)・雑損失の繰越控除(所法71)
・変動所得及び臨時所得の平均課税(所法90)
・外国税額控除(所法95)・資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入(所令182の2)

法人税関係
・受取配当等の益金不算入(法法23、81の4)
・外国子会社から受ける配当等の益金不算入(法法23の2)
・国等に対する寄附金、指定寄附金及び 特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入(法法37、81の6)
・会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入(法法59)
・協同組合等の事業分量配当等の損金算入(法法60の2)
・所得税額控除(法法68、81の14)
・外国税額控除(法法69、81の15)
・公益社団法人又は公益財団法人の寄附金の 損金算入限度額の特例(法令73の2)・引継対象外未処理
  欠損金額の計算に係る特例(法令113)

資産税関係
・配偶者に対する相続税額の軽減(相法19の2)
・贈与税の配偶者控除(相法21の6)
・相続税における特定贈与財産の控除(相令4)
 
しかし、この当初申告要件の廃止は、すべての制度について廃止されたわけではなく、
インセンティブ制度(特別償却のような租税特別措置法上の優遇制度)や、
各種引当金のように、利用するかしないかで、有利にも不利にも操作可能な制度は当初申告要件が残されていますのでご注意ください。

2.当初申告書記載制限の廃止
改正前は、以下の各制度について(国税庁HPより抜粋)、
修正申告や増額更正処分によって適用額が増加する場合であっても当初申告書に記載した金額が限度とされ、適用額を増額させることができませんでした。
改正後(平成23年12月2日以降に提出期限が到来するもの)は修正申告や更正の請求に際して、適用額を増額させることが可能となりました。

具体的に申しますと、
個人の青色申告特別控除は一定の要件を満たすと、最大65万円控除可能です。
当初申告の際には、所得が40万円であったので、青色申告特別控除は40万円でした。
その後、税務調査を受け、売上の計上漏れ50万円を指摘されました。
改正前ですと、青色申告特別控除は当初申告の40万円から増額させることは不可能でしたが、
改正後は修正申告において、青色申告特別控除を増額させることが可能となりました。

所得税関係
・外国税額控除(所法95)
・試験研究を行った場合の所得税額の特別控除(措法10)
・試験研究を行った場合の所得税額の特別控除の特例(措法10の2)
・中小企業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除(措法10の3)
・雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除(措法10の5)
・青色申告特別控除(65万円)(措法25の2)
・電子証明書を有する個人の電子情報処理組織による申告に係る所得税額の特別控除(措法41の19の5)
 
法人税関係
・受取配当等の益金不算入(法法23、81の4)
・外国子会社から受ける配当等の益金不算入(法法23の2)
・国等に対する寄附金、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入(法法37、81の6)
・所得税額控除(法法68、81の14)
・外国税額控除(法法69、81の15)
・試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(措法42の4、68の9)
・中小企業者等が機械等を取得した場合の 法人税額の特別控除(措法42の6、68の11)
・雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除(措法42の12、68の15の2)
・法人税の額から控除される特別控除額の特例(措法42の13、68の15の3)

私個人的には画期的な改正であると思っています。
該当しそうな場合は、是非お付き合いのある専門家にご相談ください。

家賃を1年分まとめて払うと、前払費用に計上しなくても良い!?

短期前払費用の処理についてのお話です。
法人税基本通達2-2-14 に前払費用の規定があります。
少し長いですが、全文掲載させていただきます。
一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。
以下2-2-14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。(注) 例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。」

要約しますと、
・一定の契約に従って、継続的にサービスの提供を受けること
・等質・等量のサービスがその契約期間中に継続的に提供されること
・役務(サービス等)の提供の対価であること・翌期以降に、時の経過に応じて費用化されるもの
・代金を既に支払っていること

以上の要件を満たした時に限り、
支払った日から1年以内に提供を受けるものを既に支払っているときは、
支払った時点で、損金(経費)処理しても良いということになります。

さて、具体的にはどのような費用が該当するのでしょうか?
以下のものが該当します。
・地代家賃
・保険料
・信用保証料
・手形割引料(上記注にご注意ください。)
・借入金利息(上記注にご注意ください。)

続きまして、継続しての意味についてですが、
「利益が予想外に出そうだから、今まで月払いだったけど、1年間まとめて支払ってしまおう」
このような場合はどうでしょうか?

短期前払費用につきましては、課税上弊害が生じない範囲内で、
費用計上の基準を緩和し、支払ベースでの費用計上を認めるものとされています。
ですので、利益調整のために、
月払いから年払いに支払いを変更するような場合の短期前払費用については
損金算入が認められない可能性が高いようです。
さらには、この短期前払費用の取り扱いについては、
福岡高裁(平成12年12月15日)「費用収益対応の原則の例外として、一定の短期前払費用については支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することを認めたものであり、会計上の重要性の原則に基づく会計処理を認めたものであって、税務処理上は、課税上さしたる弊害がないと認められる場合に限って認められるものであるところ、前払費用に係る税務処理が重要性の原則で認められた範囲を逸脱していないかどうかの判断に当たっては、前払費用の金額だけでなく、当該法人の財務内容に占める割合や影響等も含めて総合的に考慮する必要がある。」とあります。
 
結論としまして、極端な利益の上昇を押さえるため家賃等を月払いから年払いに変更するということは、
上記のとおり、利益調整のための短期前払費用の支出は、税務上、
損金算入が認められない場合が多いと考えられます。
なお、国税庁が公開しております法人税の「質疑応答事例」においても、短期前払費用の取り扱いに関し、『利益が出たから今期だけまとめて1年分支払うというような利益操作のための支出や収益との対応期間のズレを放置すると課税上の弊害が生ずると認められるものについては、これを排除していく必要があります。』として税務上の短期前払費用の取り扱いを明らかにしております。

 差額ベッド代(個室入院費)は医療費控除の対象となるでしょうか?

医療費控除による還付申告を行う際、
金額が多額でしかも悩ましいのが差額ベッド代。

病院からの領収書には「室料差額」とか「部屋代」等と記載されています。

1日、ウン万円することもある、この差額ベッド代。医療費控除の対象となるのでしょうか?

答えはケースバイケースと言わざるを得ません。
「毎年、医療費控除にしてた。」
「今までそんなこと言われたこと無い。」
というご批判は甘んじて頂戴しますが、少し検証してみたいと思います。

キーワードは、「医師の指示があるかどうか」。

すなわち、
・病状により、個室を使用する必要がある場合
・病院の都合でやむを得ず(緊急搬送等で相部屋が空いていなかった場合等)
このようなやむを得ない状況で、医師の指示でによって個室に入院したというのであれば、
差額ベッド代は医療費控除の対象となる可能性が高いかと存じます。

換言すれば、自分から望んで個室に入院したのではなく、医師の指示や、病院の都合で仕方が無く個室に入院した。
この点が、分水嶺になるかと存じます。

医師による治療で通常必要であると認められるもの。所得税法73条2の規定によります。

さてここで大きな疑問が。
「領収書に医師の指示云々。書いてないよね。」確かに書いてありません。

差額ベッド代を医療費控除の対象とするためには、医師の指示等で止むを得ずという状況を
病院の先生に診断書等で明らかにしていただく必要があると考えます。

余談ですが、診断書作成料は医療費控除の対象となりませんのでご注意ください。